ザゴロドニュク氏は露軍による民間人の虐殺について、2月24日に侵攻が始まって1週間後ぐらいから「規模の小さな町や村から報告されるようになった」と説明した。これは露軍が首都キーウ(キエフ)やハルキウ(ハリコフ)など大都市攻略を目指しながら、ウクライナ軍や住民の激しい抵抗を受け苦戦し始めた時期と重なる。
3月上旬に残虐行為が各地で一斉に始まっており、「ウクライナ政府は、ロシア政府の許可を受けて虐殺は実行されたと見ている」と語った。
ザゴロドニュク氏によると、ウクライナは露軍の電話を大量に傍受し、虐殺や強奪の事実を確認している。ロシア国内の親類や知人に電話をかけ、宝石の強奪などを「自慢げに話す」兵士の会話記録も残っているという。
ウクライナ政府はキーウ近郊ブチャで民間人の多くの遺体が見つかったことを「ジェノサイド(集団虐殺)」と非難している。
露軍が占拠する東部や南部の町や村の現状を、ザゴロドニュク氏は「生き地獄」と表現し、「彼ら(露軍)は住民を脅し、レイプし、強奪している。まるで動物のようだ」と非難した。
露軍の猛攻を受ける南東部マリウポリについて、ザゴロドニュク氏は地下シェルターに避難していない民間人に銃口が向けられ「人道物資を受け取ろうと外を歩いていただけで親子が射殺された」と語った。
ザゴロドニュク氏は「一般の人たちは月曜、火曜と曜日を考えることをやめ、毎日を21日目、23日目などと数えている。週末も休日もない」と話した。
北大西洋条約機構(NATO)がウクライナ上空の「飛行禁止区域」設定を拒否したことに関して、ザゴロドニュク氏は「失望」を表明した。代替案として、戦闘地域から民間人を退避させるため、外国軍部隊が部分的に介入して「人道管理区域」を設けることを提案。実現に向けて政府が複数の国と協議を進めていると明かした。
ウクライナ政府はブチャなどでの虐殺が明らかとなり、ロシア軍の残虐性を国際社会に訴えて、ウクライナへの支持を呼びかけている。