とはいえ、芸人仲間には復活を応援する人もいて、竹山もそのひとり。それは自身もまた、浮気騒動を経験したからかもしれない。今から14年前、彼は妻に土下座謝罪をしたことを明かすなどして、これを乗り切った。 さらに、渡部の相方・児嶋一哉への思いもあるのだろう。竹山は2006年に相方の中島忠幸さんを白血病で失った。コンビでの活動を後押ししたい気持ちもまざっているのではないか。 しかし、竹山と渡部の騒動ではかなり状況が異なる。竹山には相方に先立たれたことへの同情的雰囲気が味方したし、キレるキャラと土下座とのギャップが笑いにもつながった。 一方、渡部はそれまで清潔で洗練されたイメージでやっていたため、その反動が激しすぎた。しどろもどろの謝罪会見にも厳しい声が飛び、人間性にもトークの才能にも疑いが持たれてしまったのだ。
また、竹山が浮気をしたころとは時代も違う。ここ数年、世の中では「不倫、ダメ、ゼッタイ」という空気が強まり、そういうことをした有名人は仕事だけでなく、多くのものを失うこととなった。ベッキーは破局、東出昌大は離婚。その点、渡部は仕事はともかく、家庭を失わずに済んでいる。
第2子誕生も「忘れられる」深刻問題
4月には妻・佐々木希とのあいだに第2子が誕生。 《これからもみなさまからのご声援を大切にし、さらに精進いたします やるぞぉやるぞぉ~》 と、コメントした。逆風のなか、活動再開を決めたのも、子どもにチャレンジする姿を見せたかったからだと明かしている。 不倫騒動でアンチになった人たちは、こういうところにモヤッとさせられるのだろう。 ただ、何より驚いたのは、今回の竹山の発言があまり話題にならなかったことだ。これを書いている時点(5月29日)でネットニュースにもなっていない。 今の渡部に、そこまでの関心はないということだろうか。だとしたら彼は、新たな転機を迎えつつあるのかもしれない。それは、イメージダウンしたまま世間から忘れられるという、最も深刻な転機だ。 ちなみに『ノンストップ!』の「やめてすっきり」のトークでは、竹山がこんな話もしていた。今の自分は「芸人」をやめ「テレビに出てるだけのただのオジサン」になっているという自虐的(?)分析だ。 それが彼の生き残り術でもあったわけだが、渡部にはこれも難しい。このままでは「テレビにほとんど出られないただのオジサン」としてやっていくしかないのだから。 ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。